四月から文学館の学芸課にて勤務させていただいております、佐野と申します。
ずいぶん昔、まだ高校生だった頃、こちらの一室をお借りして書道作品の展示をさせていただいたことがありました。当時はまだ郷土文化会館という名称だったかもしれません。書道部としての活動ということで授業を抜けさせてもらい、ジャージ姿でリヤカーを引く私たち。近隣の学校からとはいえ、作品を載せたリヤカーは重さでなかなか進まず、さらにジャージ姿という気恥ずかしさもあって、なんとも言えない気持ちで道中を歩いたことでした。
こちらで勤務することが決まった時、不意にその記憶がよみがえってきました。運んで燃え尽きたのか展示そのものの記憶は残っていないのですが、あれから三十年近くたって、県立文学館となったこの建物の中に自分がいるというのは不思議なものです。日々慣れないことの連続に苦労してはいるものの、仕事を通して触れることのできる文学や絵本の世界を純粋に楽しんでもいます。職員としてこの楽しさをお伝えすることができるよう、しっかりと知識と経験を積んでいこうと思います。どうぞよろしくお願いします。

四月の半ばに見に行った”頓定(とんじょう)の桜”。 小ぶりな花が愛らしい、見事なしだれ桜でした。 (仁)