とある朝、一番に文学館に出勤したら、白いキノコを見つけました。それも二つも。
もし私が詩人だったらこのキノコを題材に俳句でも短歌でも詠むのでしょうが、あいにくそうした才能は持ち合わせておらず、ただ写真を撮りました。
キノコはあっという間に姿を変えてしまいますので、その一瞬の姿をせめてとどめておきたいという気持ちで。
さて、世の中には日常のささやかな発見を俳句や歌に書き残してくれる人がおり、私たちは時代を超えてそうした作品を味わうことができます。
10月4日(土)から始まる「短詩型文学展 その魅力」は、高知県の作家が詠んだ句や歌をたくさん紹介する展覧会です。
紀貫之から現代の岡本真帆さんまでをまるっと紹介したこの企画展。
結構面白いのは、当時の俳壇や歌壇の主流とはちょっと違うのに、不思議な魅力を感じてしまう作品が時々現れることです。
南学が流行する近世に詠まれた万葉集のような歌たち、土佐テニハという独特な詩形、近代俳壇の影響をほとんど受けていないのではないかなと思われる作家・田中貢太郎が詠んだ破調の句。
人の生き方が人それぞれ違うように、俳句や歌の「ここがいい」というポイントも人によって違います。
展覧会に来て、ぜひ自分の気に入った作品や作家を見つけてほしいと思います。
高知県の中・高校生が作品を選び、障がい者支援施設の皆さんが和紙で彩ってくれた「ことのは」コーナーや、ジオラマで歌碑・句碑などを紹介するコーナーのほか、参加型展示で自分の作品を書いて貼れるコーナーもありますので、よければぜひ素敵な自作を披露してください。
(誰かキノコの俳句や短歌を詠んでくれないかな……とひっそり楽しみにしています)
(川)