【本の情報】
初出:「中央公論」に2018(平成30)年1月号~2020(令和2)年3月号まで掲載
単行本:中央公論新社より2020(令和2)年8月に出版
【作品について】
酒場詩人・吉田類のエッセイ集です。巻末には著者と親交のある朝日新聞記者の小泉氏による解題が収録されています。
同じく中央公論新社から出版された『酒場詩人の流儀』『酒は人の上に人を造らず』に続く第三作で、軽妙な筆致で書き留めたエッセイが収録されています。ホームグラウンドである東京を中心に、若山牧水の故郷・宮崎県や石川啄木の故郷・岩手県、果てはパリまで様々な場所を訪れています。もちろん、故郷高知のことも書かれています。
ほろ酔いで旅する筆者が見るのは、夢と現、彼岸と此岸を行き来する不思議な世界。著者の手によって無味乾燥に映る日常が鮮やかに彩られ、世界はこんなに豊かなのかと驚きます。
酒が飲める人にも、飲めない人にも、この酩酊に似た不思議な読後感を味わってほしい一冊です。