高知県立文学館

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文学館ニュース
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中脇初枝さんの新著『神に守られた島』(講談社)が出版されました!

鮮やかでカラフルな花が描かれた表紙、南国の果物のようなオレンジ色のしおりなど、夏にぴったりの素敵な装丁がパッと目を引きます。

しかし内容は、中脇さんの作品の多くがそうであるように、とても考えさせられるものになっています。

舞台は太平洋戦争中の沖永良部島。主人公の少年「マチジョー」はのびのびと成長していますが、彼の周りには戦争で傷ついた兄、特攻機の不時着といった事件や食べ物の不足といった状況があり、私たちの時代とは異なった現実の中にいます。

やがて戦争は激しさを増し、この美しい島の人々も巻き込まれていくのですが、「マチジョー」の素直な目を通して書かれる沖永良部島の歴史や人々の心は、時代も思想も異なるはずの私たちにもまっすぐ届いてくるのです。

文章は島の言葉が多用されているのですが、私たちの今の言葉がルビとして振られているのですんなり読むことができます。島の言葉によって物語を作り上げるのは、その土地の人々の営みをすくい取り尊重する、中脇さんらしい姿勢の表れでしょう。

同時発売された写真集『神の島のうた』(講談社)は、中脇さんが選んだ沖永良部島の島唄と、葛西亜理沙さんによる美しい写真によって編まれています。ため息が出るほど素敵で、そっと大事に持っていたいような気持ちになります。

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 今年ももうすぐ終戦記念日がやってきます。この本を紐解いて「マチジョー」に会い、彼が生きた時代について思いを馳せてみるのもいいのではないでしょうか。

(川)

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