高知県立文学館

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文学館ニュース
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「時代小説と歴史小説展 ―江戸時代を生きる、今を生きる―」

時代小説をおもしろいと感じるようになったのは、いつ頃からだっただろう。高校や大学時代はよく友人と本の貸し借りをし、感想を書いたノートを交換して感動を共有したりしていた。もちろんスマホなどない時代で、自分の感想に友人がどんなコメントを書き込んでくれるのか、ノートが自分の手元に来るまでの3日ほどの時間が、ワクワクと待ち遠しかったことを覚えている。読む本は太宰治や井上靖、遠藤周作などさまざまだったが、その中に時代小説は含まれてなかった。若いころは、「時代小説=古臭い」「時代小説=年寄りが読むもの」という厚顔無恥な偏見があったように思う。社会人になってもなかなか時代小説を読む機会がなく、推理小説に夢中になったり、好きな作家の新作を追いかけたりする日々が続いた。

中年になり、ワクワクドキドキだけでは語れない人の世の機微を感じるようになり、思い通りにいかないもどかしさや、何があったというわけでもないのになぜか切なくなる気持ちを埋めるかのように、そのころから時代小説を手に取ることが増えたように思う。江戸に生きる市井の人々が、今を生きる自分と同じように傷つき、けれど必死に生きようとする姿に勇気づけられた。

今、文学館では「時代小説と歴史小説展」を開催中だが、ご来館の皆様が、本当に熱心に展示を見てくださっている。「紹介されていた本を読みたいのだが、今も出版されているのか」などの質問もたびたびいただき、有難く思う。願わくは、まだ時代小説や歴史小説を読んだことのない方にも来ていただき、その魅力を感じていただけたらと思っている。(敦)

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